読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2019-11-10から1日間の記事一覧

数を気にする紀貫之

紀貫之の歌といえば「水底」がまず思い浮かぶが、数を気にする紀貫之というのも結構気になっている。 033 いかにして数を知らまし落ちたぎつ滝の水脈よりぬくる白玉056 数ふればおぼつかなきをわが宿の梅こそ春の数は知るらめ064 幾代へし磯部の松ぞむかしよ…

大岡信『紀貫之』(1971, 2018)

「土佐日記」が好きなので紀貫之を悪く思ったことはない。歌も悪いとは感じない。 影見れば波の底成るひさかたの空漕ぎわたるわれぞわびしき 正岡子規によって戦略的に「下手な歌よみ」と宣言されてしまった紀貫之ではあるが、大岡信は本書によって紀貫之の…