読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2020-01-19から1日間の記事一覧

野口米次郎「寂寞の海」(Seen and Unseen 1896『明界と幽界』より)

寂寞の海 樹木の影に虚空の色がある、その下を私の「自己」が倦怠の雲のやうに、「どこか」へふはりふはりと動いて往く。 ああ、寂寞の海だ! 私はこの深さ、否な深さのない深さの顔、否な顔のない大きな顔の上を浮かんでゐるやうに覚える。 永久に海岸のな…

野口米次郎の詩

筑摩書房の現代日本文學大系41で野口米次郎の詩を読んだ。目的は鈴木春信の「雪中相合傘」を主題とした詩だったが、残念ながら収録されてはいなかった。また代表的な作品『二重国籍者の詩』も収録されておらず、ネット検索しても詩集がほとんど出回っていな…