読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2020-01-30から1日間の記事一覧

ニコラウス・クザーヌス「神を見ることについて」(1453)

無限について語るニコラウス・クザーヌスを読んでいるとつねにスピノザのことを意識するのだが、ニコラウス・クザーヌスは受肉や三一性も説きつづけるのでよりアクロバティックに見える。 もしそれが、無限性から縮限されることが可能なものであるならば、そ…

野口米次郎「月夜」(From the Eastern Sea 1903『東海より』より)

月夜 明月や池をめぐりて夜もすがら 芭蕉 悲しき月は山を、われは静かに山を離れ、漸くにして、われ、悲哀の思ひを、声なき風にふり落とせり。月の歩みは美しけれど冷たし、われも銀の平和を踏み、人間の路より遠ざかる。神秘の光、露を帯び、恰(あたか)も…

金子光晴・森三千代・森乾 『詩集「三人」』

金子光晴(父)、森三千代(母)、森乾(息子)三人が戦争から逃げるようにして生きている間に書き綴った私家版詩集。息子20歳とすると、父50歳、母44歳の時の作品。本に持っていかれた人生が生んだ詩。 誰とも顔を合されぬといつて、室のうちにひたが…