読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2020-02-01から1日間の記事一覧

野口米次郎「常夏の国」(From the Eastern Sea 1903『東海より』より)

常夏の国 ここは黄色の午後の国、だるい影のやうな甘い国、赤唇の平和がその顔に溢れ、平和は太陽の光と愛に栄える。ああ諧音と香気はやはらかに墓場に眠る人々へ降り、再び彼等を生命に蘇生させる………ああ夢と耳語の国、幸福と花の国、悲哀と暗黒は亡び、亡…

新潮日本古典集成『萬葉集 一』

巻一~巻四(歌番号 0001~0792)青木生子、井出至、伊藤博、清水克彦、橋本四郎 校注 字が大きくて空白が多いつくりになっているので何となく読みやすい。全4516首、読み通せるかもしれないという気分にさせてくれるシリーズ。 0004 たまきはる 宇智(うち…

野口米次郎「北斎の富士」(From the Eastern Sea 1903『東海より』より)

北斎の富士 その神聖な息吹(いぶき)に触れ、私共は神の姿に帰る。その沈黙は即ち歌、その歌は即ち天国の歌だ。今熱病や憂苦の陸土はすずしい眼の平和の家と変る、ただ死ぬべく生まれる人間の陸土から、私共は遥か離れた平和の国に入る。ああ、私共は富士の…

ニコラウス・クザーヌス「創造についての対話」(1447) 酒井紀幸訳

生成する宇宙のイメージをえられる著作。 神に由来する類似化の様式は、それが特殊であるときに、まさにそれゆえに理に適っていると。なぜなら次のように言われるからである。すなわち、同一者が同一化するがゆえに、特定の状態によって隠蔽されうる様式は、…