読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2020-02-04から1日間の記事一覧

太田記念美術館監修、日野原健司解説『ようこそ浮世絵の世界へ An Introduction to Ukiyo-e, in English and Japanese』(2015)

図版の数は比較的少ない感じがするが、少ないなかで絵師の魅力を最大限に伝えている。選択の妙が味わえる。特に喜多川歌麿の繊細な線の良さが感じられる一冊となっているように思えた。「富本豊ひな」「歌撰恋之部 物思恋」「逢身八景 お半長右衛門の楽顔」…

野口米次郎「悲哀の詩」(『夏雲』1906 より)

悲哀の詩 『悲哀の詩が私の最初でしかも最後のものだ』と私は詩を作る時いつもいふ。夕日は悲しみの矢を投げて私の魂を傷ける。 失望と暗黒が急に世界を満たさうとする。私は悲しい思想を忘れようとして泣。恰も暴(あ)らあらしい海上を凝視する男のやうに…

新潮日本古典集成『萬葉集 三』

巻十~巻十二(歌番号 1812~3220)青木生子、井出至、伊藤博、清水克彦、橋本四郎 校注 水の上にかく数字はなんだろうかと考えてみる。漢数字の一が一番妥当なんだろうか。水がある惑星の古い歌の数々が美しい。 1861 能登川(のとがは)の 水底(みなそこ…