読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2020-02-22から1日間の記事一覧

【謡曲を読む】新潮日本古典集成 伊藤正義校注『謡曲集 中』その4

いま、春一番が吹いている。歌は出てこないので、相も変わらず本を読む。好き嫌いは別にして、日本文芸の通奏低音として天台本覚思想やアニミズムが流れていることは逃れようのないことなのだと思う。「有情非情のその声 みな歌に洩るる事なし 草木土砂(ソ…

永田生慈『もっと知りたい葛飾北斎 生涯と作品』改訂版(2019)

画狂老人卍、葛飾北斎、享年90。75歳の時に書いた、絵本「富嶽百景」初編の跋文がいかしている。 己(おのれ)六才より物の形状(かたち)を写(うつす)の癖(へき)ありて 半百の此(ころ)より数々(しばしば)画図を顕(あらわ)すといえども七十年…

【謡曲を読む】新潮日本古典集成 伊藤正義校注『謡曲集 中』その3

小野小町は老いても落ちぶれたり取り乱したりする可能性は少ないと思うのだが、劇としては、若く美しい往年の姿と老いて醜い現在の姿の対比が効果的で好まれ、同趣旨の作品がいくつもつくられている。 【角田川】人商人に拐わされ死んでしまった梅若丸の霊と…