読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

2020-10-18から1日間の記事一覧

ポール・クローデル『詩法』(原書1900-1904, 齋藤磯雄訳 1960, 1976 )呼吸としての詩、カトリック詩人の濃密な世界観

共鳴器としての人間。豊かな世界の中で出会うもの触れるものに応じて楽音を響かせる。詩の方法、詩の技術というよりも哲学的散文詩といったものに近い。詩を語りながら人間を語っているようで深い。詩の司祭による最高級の教説。呼吸としての詩。 【時間の認…

【ハイデッガーの『ニーチェ』を風呂場で読む】06. 戦闘 ハイデッガーのきな臭さ

ハイデッガー『ニーチェ』の原書は1961年の刊行。実際に講義が行われたのは1936~1937, 1939, 1940の期間。ナチスとは距離をとったと言われている時期ではあるが、どうにもきな臭い。 プラトニズムと実証主義における真理 ニーチェがニヒリズムの根本経験か…

マルティン・ハイデッガー『哲学とは何か』(原書 1956 理想社ハイデッガー選集7 原佑 訳 1960) 驚異というパトス

まだ若いうちは恐怖はあっても驚異はなかったが、老眼が出はじめた二年前くらいから、恐怖も驚異も共に感じる精神状態になってきた。そのためもあってか、哲学書もわりとよく読むようになってきた。老いはじめてはじめて知るようになった、存在していること…