読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

数学

中沢新一『レンマ学』(講談社 2019)とりあえず、この先五年の展開が愉しみ

中沢新一、七〇歳のレンマ学言挙げ。あと十年ぐらいは裾野を拡げる活動と頂を磨き上げる活動に注力していただきたい。難しそうな道なので陰ながら応援!!! 横道に逸れたら、それも中沢新一。私とは明瞭に違った人生を生きている稀有な人物。変わった人なの…

竹内薫『「ファインマン物理学」を読む 電磁気学を中心として』(講談社ブルーバックス 2020)

物理学はモデルよりもモデルのもととなる数式、方程式が大事。そのことを明確にしかも興味深く教えてくれるのがファインマン先生、さらによりかみ砕いて肝の食べやすい部分だけをさっと取り出してくれているのが竹内薫。本当は方程式を理解したほうがいいに…

山田克哉『真空のからくり 質量を生み出した空間の謎』(講談社ブルーバックス 2013 )

観測不能と無限大とゼロ。付け加えて仮想粒子とプランク定数と量子化。量子力学の世界像に慣らしてくれるほぼ数式なしで書かれた解説書。 わりと疑い深くはない性格なので、専門の編集者がついて出版された書籍に書かれていることは、なんとなく理解すること…

ジョルジョ・アガンベン『実在とは何か マヨラナの失踪』(原書2016, 講談社選書メチエ2018)

イタリアの天才物理学者が突然失踪した理由を思想的側面から推理するアガンベンの著作。著者がマヨラナの失踪について最終的に提示した見解よりも、そこに到るまでの統計確率の学問的解釈に目を惹かれた。「決断することを可能にする科学」としての統計確率…

高岡詠子『シャノンの情報理論入門 価値ある情報を高速に、正確に送る』(講談社ブルーバックス 2012)

情報理論の父、クロード・シャノンを紹介した入門書。「あらゆる情報は数値に置き換えて表わすことができる」として、情報のデジタル化を理論的に支えた業績を3つの視点からとらえられるようにしている。 1.情報を量ることができることについて2.情報を…

須藤康介+古市憲寿+本田由紀『文系でもわかる統計分析』(朝日出版社 旧版 2012, 新版 2018)

数学が苦手な社会学者古市憲寿が狂言回しとなって、統計分析の初歩をレクチャーしてもらう対談形式の一冊。用語に馴染むというところからはじめてくれているので、敷居がとても低く初心者に優しい。IBMのSPSSを実際に操作しながら統計分析の手法を学んでいく…

クリフォード・ピックオーバー『ビジュアル 数学全史 人類誕生前から多次元宇宙まで』(原書2009, 岩波書店2017)

図書館が再開して、自分では購入して保有してはおけない大型本に接することができるようになった。 「紀元前1億5000万年ころ アリの体内距離計」、「紀元前3000万年ころ 数をかぞえる霊長類」からはじまって、「2007年 例外型単純リー群E8の探求」、「2007年…

福岡伸一『フェルメール 光の王国』(木楽舎 2011)

1632年、オランダ。フェルメールとスピノザが生まれたオランダ、デルフトでもうひとり、光とレンズの世界に没入する人物がいた。アントニ・ファン・レーウェンフック。顕微鏡の父、微生物の発見者。福岡伸一はフェルメールの『地理学者』『天文学者』のモデ…

竹内薫『「ファインマン物理学」を読む 普及版 力学と熱力学を中心として』(講談社ブルーバックス 2020)

サイエンス作家竹内薫がガイドする「ファインマン物理学」への手引き書。三分冊のうちの最終巻のようだが、「ファインマン物理学」の原書第1巻は「力学」、第2巻が「光・熱・波動」ということなので、こちらから読みはじめた。 ファインマン自身の魅力に加…

山田克哉『 E=mc2のからくり エネルギーと質量はなぜ「等しい」のか』(講談社ブルーバックス 2018)

恥ずかしながら「光子はエネルギーを持っているのに質量がゼロとはどういうこと?」と理系世界では常識レベルかも知れないことをずっと疑念に思ってきたのだが、本書ではじめて腑に落ちた。「電子対創生」。いままで読んだことはあったかも知れない。でも、…

佐藤勝彦 監修『図解雑学 量子論』(ナツメ社 2001)

初歩の初歩、入門中の入門の書みたいな体裁をとっているにもかかわらず、具だくさん。しかもきっちりと味付けがしてあって、うまさを感じる。見開き2ページでひとつのトピックを扱っていて、右に図解、左に解説文で、数式が理解できないひとに向けても、し…

エルヴィン・シュレーディンガー『自然とギリシャ人・科学と人間性』(原書 1996, ちくま学芸文庫 2014)

教育は洗脳の側面を持っていると言われるなかで、自主的に学習していこうとする者は進んで洗脳される態勢をとっているカモのようなものなのに、相対論と量子論の洗脳はなかなかきまってくれない。古典力学の洗脳が強くて解けないので、新しい洗脳を弾いてし…

吉田洋一+赤攝也『数学序説』(培風館 1954, ちくま学芸文庫 2013)

一回試行の確率空間って、日々の生活とか歴史の歩みのことを言っているようだ。 理系の学者でうまい文章を書く人はとても魅力的で、普段は思いもつかないようなことを示唆してくれる。 適当に訓練された数学者は、数学的理論に対して’数学的審美眼’ともいう…

コーラ・ダイアモンド編『ウィトゲンシュタインの講義 数学の基礎編 ケンブリッジ1939年』(原書 1975, 講談社学術文庫 2015)

なに言っているんでしょう、ウィトゲンシュタイン。そんなことばっかり言ってると愛しのチューリング君にあきれられてしまいますよ。 前回の最後は紛糾してしまった。そしておそらく、今回も同様にもつれることになりそうだ。少し前に私が辿り着いたポイント…

ジャック・デリダ『「幾何学の起源」序説』(原書 1962, , 青土社 1988)

デリダの序説はフッサール論であるとともに、ジェイムズ・ジョイス論という側面を持っている。ジョイスを論ずるのにヴィーコを持ってきたベケットと、フッサールを持ってきたデリダ。これまでデリダは苦手で、お付き合いするのをためらうことが多かったのだ…

エドムント・フッサール『幾何学の起源』(執筆 1936, 中公文庫 1995, 青土社 1988)

文化を担っているという意識をことさら持たなくとも、日常の活動の中で、文化的なものを伝える媒質あるいは再生する装置としての自分自身というものを思うと、すこしプラスの感情が発生する。フッサールの『幾何学の起源』の文章は、そうした機会を発生させ…

赤攝也『集合論入門』(培風館 1957, ちくま学芸文庫 2014)

数学が趣味ではない文系人間でも、集合論は興味深く接することができる領域だと思う。無限と自己言及に関する議論についての感度が高くなる気がするので、怖がらずに四、五時間付き合ってみるのも経験値の観点からも損はない。また、ぜんぶ分からなくても、…

小室直樹『数学を使わない数学の講義』(2005, 原書『超常識の方法』1981)

本のタイトルは重要で、原書の『超常識の方法』のままだったら手に取らなかったかもしれない。40年前の書籍が15年前に改訂・改題して出版、いまでも版を重ねているようだからたぶん良書なんだろうとおもって購入して読んでみたら、昭和の香りが色濃い、おじ…

スティーヴン・ホーキング+レナード・ムロディナウ『ホーキング、宇宙のすべてを語る』(原書2005, 訳書2005)

物理学者にとっては宇宙のモデルとして数式のほうがリアルなんだろうが、一般読者はその数式から導き出されるイメージを自然言語に翻訳してもらわないことには悲しいことに何もわからない。本書はホーキングとムロディナウによって一般層になるべくわかりや…

ジョン・フォン・ノイマン『計算機と脳』(原書1958, 2000 ちくま学芸文庫 2011)

ノイマンの遺稿。現代コンピュータの生みの親が最後に綴った言葉は六十年の時を経てもなお輝きを失わない。第三次人工知能ブームの世の中で一般向けに出版されている解説文に書かれている基本的な重要情報は本篇100ページに満たないノイマンの原稿のなか…

石川聡彦『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』(2018)

自然言語処理系のAIは、まだバカっぽさが残っているところが愛らしく感じられて好きだ。はてなブログの関連記事の抽出機能はこの自然言語系のAIが担っているものと想定されるのだが、書き手の予想を外れる関連記事を持ってくることが多々あって、それはそれ…

佐藤敏明『文系編集者がわかるまで書き直した世界一美しい数式「eiπ =-1」を証明する』(2019)

中卒レベルの数学力の読者層に向けてオイラーの公式、オイラーの等式を理解してもらおうと書かれた一冊。章末の練習問題を端折ってしまっても、本文さえ読み通せば、なんとなく分かった気にさせてくれる。対数や指数の意義についても、計算を簡便に高速にす…

吉田武『虚数の情緒 中学生からの全方位独学法』(2000)

名著。虚数を通して量子力学の世界にも手引きしてくれていて、お得。先日科学哲学の入門書で何の説明もなしに出てきて困った「虚時間」や「ファインマンの経路積分法」についても紹介があり、さらに興味付けもしてくれて大変ありがたい。千頁の大冊だが19年…

野矢茂樹『無限論の教室』(1998)

カバー表: 「無限は数でも量でもありません」とその先生は言った。ぼくが出会った軽くて深い哲学講義の話 著者の友人の哲学者、田島正樹をモデルにした無限論ゼミ風物語。カント―ル、ラッセル、ゲーデルの業績をベースに物語は展開する。 私が一番興味を持…

高橋昌一郎『ノイマン・ゲーデル・チューリング』(2014)

三人の代表的講演、論文の訳出をメインに据え、「解題」と「生涯と思想」を添えている。ゲーデルについては専門家にむけた講演であるようで、解説があってもなかなか歯が立たないレベルの内容だったが、それでもやはり本人の原稿に直接触れるためのさまざま…

飲茶『哲学的な何か、あと数学とか』(2009)

フェルマーの最終定理の証明をめぐる数学歴史読み物。1600年頃に始まり1995年に最終的に証明されるまでの数学に取りつかれた人間たちのドラマ。感動的な本だが、数学自体の解説本ではないので注意。 その手の人々(引用者注:未解決問題に無謀にも挑む人々)…

足立恒雄『「無限」の考察 ∞-∞=?』(2009)

数学読み物。対象は高校生くらいから。 「無限」にターゲットを絞って、丹念に解説してくれている。 無限という概念は人類が考え出したものです。有限の対象で成り立つような事柄の中には無限の対象としても成り立つとして差しつかえない場合もありますが、…

Mark C. Chu-Carroll『グッド・マス ギークのための数・論理・計算機科学』(2013, 2016)

書店で手に取ったときに、数式が少なく、守備範囲が広そうで、入門書の次くらいのレベルの数学とコンピュータ関連の本という印象があったため購入。文系出身プログラマやSEにお勧め。 集合論は、その従兄弟である一階述語論理(FOPL)と共に、ほぼすべての現…

竹内薫『数学×思考=ざっくりと いかにして問題をとくか』(2014)

数学系思考がベースのビジネス書。基本的にゴシック文字を記憶にとめて、あとは実践に向かうようにできているのではないかと考える。知識も必要だけど、現場でどれだけ使えるか、その領域で勘が働いているかが重要。実務にあっては、資格よりも経歴が重要。…