社会学
ゲオルク・ジンメルもドゥルーズ=ガタリもちゃんと読んでいるわけではないので一読者の勝手な印象でしかないのだが、ジンメルはおだやかなドゥルーズ=ガタリ(且つガタリ弱め)のような感じがしていて、咀嚼するのに大変なところはあるものの、いろいろお…
三日連続の休みなので、社会学をまとめて読もうかと・・・ 二クラス・ルーマンも候補にあったけれど、資料が集まらず、ゲオルク・ジンメルに決定。 1.『社会的分化論 社会学的・心理学的研究』(1890) 石川晃弘, 鈴木春男 訳 (中央公論社 世界の名著 47 196…
読み通したあとに「訳者あとがき」でもともと点字出版のために書かれたテクストだったということをはじめて知り、哲学史にしては変な配分だなと思いつつ読んだ文章の意味合いを、あらためて想像してみようと思った。 原書のタイトルは『盲人のための哲学概論…
哲学と芸術と政治を語ったメルロ=ポンティ晩年の著作。五十代前半で逝ってしまった詩的哲学者の存在が惜しい。死ねないんじゃないかと思うくらい長生きしたときにどんな文章を書いてくれていたかと想像すると、その存在の大きさに尊敬の念が湧いてくる。サ…
数学が苦手な社会学者古市憲寿が狂言回しとなって、統計分析の初歩をレクチャーしてもらう対談形式の一冊。用語に馴染むというところからはじめてくれているので、敷居がとても低く初心者に優しい。IBMのSPSSを実際に操作しながら統計分析の手法を学んでいく…
訳者でもある上村忠男が読み解くアガンベンの《ホモ・サケル》プロジェクト。高名な方であるのにかかわらず、瑞々しく真摯な執筆の姿勢に頭が下がる思いがする。 アガンベンの仕事をたどるなか、ベンヤミンからスピノザへ導かれるような感触もあったので、ス…
ジャーナリストの池上彰さんは、どこかの新書で、テレビは見るものではなく出るものだということをおっしゃっていた。いちばんの理由は情報収集にかかる時間面でのコストパフォーマンスが悪いためということだったと思う。当事者の意見なので、そんなものな…
左翼を自認する社会学者ウォーラーステインが提示する希望をこめた未来世界のモデル。 資本主義システムの決定的な欠点は、私的所有にあるのではなく――それは単に手段にすぎない――商品化にある。商品化こそが資本の蓄積において不可欠の要素なのである。今日…
近代における世界の脱魔術化が引き起こした硬く冷めた知の世界を、魅力あふれる高度に科学的な魔術化した知の世界へ。帯を書いた落合陽一や解説のドミニク・チェン、さらには訳者の柴田元幸にも大きなインパクトを与えた著作ということで、楽しみに読んだの…
かなりきっちりとルーマンの社会システム理論を紹介してくれている入門書。教科書としても使われているようで、この手の書籍にしてはかなり重版されている。さきにオートポイエーシス(自己創出、自己産出)論を少しかじっていないと飲み込みにくいかもしれ…
日本で独自に編まれたインタビュー集。エマニュエル・トッドはフランスの歴史人口学者・家族人類学者。各国各地域の家族構造から人間の社会活動としての政治・経済・文化を解析するすぐれた学者。本書では特に経済に関する洞察が光っている。 中国人が人民元…
仲正昌樹は人文系の教師として優れた入門書を数多く出版している。新書のため比較的分量軽めに書かれているが、本書も情報を手に入れるには有効な著作となっている。対象をかみ砕いて丁寧に紹介することを普段から志向しているようで、仲正本人の主張や思考…
どのくらいの不安と危機感をもつのが適当なのかわからないときに、少なくとも過剰な自己責任論に押しつぶされないような情報を与えてくれる一冊。 「福祉国家」体制が次第に廃棄され、消滅していく一方、かつて事業活動や市場の自由な競争とその悲惨な結末に…
プルードン、マルクス、レーニンなどによる資本主義に関する研究は、労働者層よりも資本家層の学習により役に立つ。万国の労働者階級が資本主義の不可避性に抗って共闘するよりも、資本主義の必然性の流れに乗って、その流れを加速させるほうに参入するほう…
リアル空間のウィルス感染経路は活動自粛要請によって減少している(はず)。その反面、サイバー空間の活動量は増え、こちらのウィルス感染経路は増えている。身を守るという意味では、サイバー空間での活動もより慎重になるべき状況ではある。命にはかかわ…
死後出版されたモースの遺稿。「国民はみずからの言語を信仰している」という洞察が身に沁みてくる。 けれども、風変わりで、古拙で、あるいは純化された言語に付与されたこのような優越性は、エリートの畏敬の対象でしかなかった。脇に置かれた人民は、そん…
身体的な欲求も社会的な欲望も他なるものを取り込みながら同化変容していく。活動領域や交換法則は整備されながら拡大していく。同質化の動きは避けられない。 確実なのは以下のことどもです。現在までの未曽有の相互浸透がもはや定着していること。個々の国…
原題は『現代社会学に関する四つのエッセー』(1951)。 戦争と祭とは、どちらも動揺と喧騒、そして大いなる会合の時期である。そしてその間、貯蓄経済は濫費経済によって代わられる。そこでは交易や生産によって蓄積され、営々として手に入れられたものが、…