読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

紀貫之

大岡信『紀貫之』(1971, 2018)

「土佐日記」が好きなので紀貫之を悪く思ったことはない。歌も悪いとは感じない。 影見れば波の底成るひさかたの空漕ぎわたるわれぞわびしき 正岡子規によって戦略的に「下手な歌よみ」と宣言されてしまった紀貫之ではあるが、大岡信は本書によって紀貫之の…

萩谷朴 「貫之の勇み足」

萩谷朴紫式部の蛇足 貫之の勇み足2000 「土佐日記の勇み足」による土佐日記成立の背景: 歌壇第一人者としての名声と献歌を通じての辱知の関係とに一縷の望みをかけて、求職の申請書即ち「申文」として執筆し、忠平一家に献呈したのが土佐日記であったと私は…