読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

絵巻

続々日本絵巻大成 伝記・縁起篇1『善信聖人親鸞伝絵』(小松茂美編 中央公論社社 1994)

『善信聖人親鸞伝絵』は親鸞の曽孫にあたる覚如が、親鸞没後33年の1295年に自ら詞書を染筆し完成させた伝記絵巻。絵師は不明だが、絵からはしっかりした技量が伝わってくる。寺社の室内での場面が多く、比較的動きの少ない絵巻だが、描かれている人物…

五味文彦「『一遍聖絵』の世界」(吉川弘文館 2021)

『絵巻で歩む宮廷世界の歴史』や『絵巻で読む中世』を書いた国文学者五味文彦が、鎌倉時代の名品、国宝『一遍聖絵』(1299)を単独で取り上げ解説した作品。主立った場面を図版で提示しながら、そこに描き込まれた社会や人々の様子やものの名を言語化して、視…

中央公論社 日本の絵巻2『伴大納言絵詞』(1987年刊 編集・解説 小松茂美 )

『源氏物語絵巻』、『信貴山縁起絵巻』、『鳥獣人物戯画』と並ぶ四大絵巻物のひとつ。ジブリの高畑勲をうならせた群衆描写はやはり圧巻。ひとりひとり違う仕草、衣装、顔つきと表情が丁寧にしかも生き生きとした筆で造形されている。なかにはジブリのアニメ…

中央公論社 日本の絵巻19『西行物語絵巻』(1988年刊 編集・解説 小松茂美 )

仏にはさくらの花をたてまつれわが後の世を人とぶらはば 73歳で示寂した後の世、それほど時を置かずに描かれはじめた西行の生涯を描いた絵巻で、今日に伝わる三種を収めた一冊。その絵巻三種は以下のとおり。 徳川美術館本一巻(絵:土佐経隆、詞書:藤原…