デレク・ウォルコット
オデッセイ
訳 谷口ちかえ
1993
英国のロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの委託により作成。
ホメロス『オデュッセイア』のパロディ。
「廃物となった石油のドラム缶を輪切りにして天板にチューニングして創ったスティール・ドラム」でカリブ風に編曲された『オデュッセイア』といったところ。
メネラオス:
ナイフでぼろぼろに切られた彼の赤い血管からは、血のスプレーがネット状に飛び散った。(p56)
「誰でもない」が/「どこでもない」から来て/「存じない」へ行こうとしている。/これ、普通だろ。/違うか? (p102)
カリブ風の味付けがあっさり目かなぁ。再編集・再構成の手際については、臭みがなく一流のものがあるんだろうなぁと感じることができます。
小沢書店の『デレック・ウォルコット詩集』は濃いめ。戯曲と詩の違い、依頼の作品と独自作品の差になるのでしょう。
ノーベル賞取った時の作品『オメロス』も翻訳で読みたいけれど、売れないから無理だろうなぁ。
デレク・ウォルコット
1930 - 2017