読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ショウペンハウエル 『自殺について』

ショウペンハウエル
訳 斎藤信
自殺について
1851 (訳 1952)

www.iwanami.co.jp

目次:
我々の真実の本質は死によって破壊せられえないものであるという教説によせて
現存在の虚無性に関する教説によせる補遺
世界の苦悩に関する教説によせる補遺
自殺について
生きんとする意志の肯定と否定に関する教説によせる補遺

 

ショウペンハウエルの主著『意志と表象としての世界』中公クラシックス全3巻は購入済みで、いつ読んでもいいようにはなっているのですが、読むための事前準備ができていないと途中で弾き飛ばされてしまいそうなので、短めの論文から読んで、下地作りをしておこうという魂胆です。

 

気になる語句の引用メモ:

・意識を生み出してきていたところのそのものは決して消滅することはない。(p15)

・知性は二次的なそしてまた単に肉体的な性質のものにすぎないのであって、徹頭徹尾身体に依存しているのである。(p22)

・個体は物自体そのものではなくて、それの現象にすぎないのだ。(p27)

・生きんとする意志―これは物自体として不滅のものである―(p33)

・物自体としての意志(p84)

・物自体即ち生きんとする意志(p89)

 

運動している世界=意志=物自体の汎神論という理解から入り込んでいけば間違いないかなぁ?
身体・意識・知性は運動している世界から出来してきた不安定な現象であると。
私が小さかったころは、世界は絶対零度になるとすべての運動が止まると教えられていましたが、今の科学の世界では、世界が動かなくなることはないということになっいるそうです。世界は運動をやめないで、いつもゆらいでいて、ゆらいでいるうちはすくなくとも世界がおわるということはないのだと思います。

 

アルトゥル・ショーペンハウアー
1788 - 1860
斎藤信
1907 - 1977