読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

久須本文雄 寒山拾得

久須本文雄
寒山拾得

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原文、読み下し文、現代語訳、訳注のほか白隠の注釈も多く紹介されています。
寒山詩は思想的に道教儒教、仏教が混じっているようです。

100.

生死の譬を識らんと欲せば 且らく氷水を将って比えん
水結べば即ち氷と成り 氷消ゆれば返って水と成る
已に死せば必ず応に生まれるべく 出生せば還って復た死す
氷と水と相い傷わず 生と死と還た雙ながら美し

むすびほどかれ往還するというとらえ方がうつくしい。
むすび、ほどきのメカニズムをもう少し精緻にコトバにしてとらえてみたい。

 

224.

大海水無辺 魚竜万万千
逓互に相い食噉す 冗冗たる痴肉団
心の了絶せざるが為めに 妄想は起こりて煙の如し
性月は澄澄として朗らかに 廓爾として無辺を照らす

水族館に行ってもディスカバリーチャンネルを見ても魚が愚かだとは感じたことがないので何か新鮮な感覚。海の中で魚同士が群がり食い合っている、これも畜生の世界、なんて断言されなければこういうふうに魚を歌う発想には浮かんでこない。魚は鮫とかだろうか・・・

 

久須本文雄
1908 - 1995