読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

穂村弘 短歌の友人

穂村弘
短歌の友人

単行本:http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309018416/

文庫本:http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309410654/

2007(単行本)

あらためて短歌のプロなんだなと認識させてくれる批評のコトバの数々。

 

抜き書きメモ:

短歌という器には「言葉を軽く握って流す」ことで独特の共鳴効果が生じるという特性があるように思う(p050)

表現の試行を上回る速度で我々が日常的に扱っている空気のほうが変化してしまった(p164)

燃えさかる火の玉ような普通さ(p202)

人類史上もっとも幸福で、しかし心のレベルとしては最低の生を生き、種の最期に立ち会おうとしている我々の<今>(p214)

 

実作者としてひとつの時代を背負ってしまった観もある穂村弘の批評には断言の力があった。切迫感もあった。「心のレベルとしては最低の生」かどうかは分らんが、現状の不快や不安な何かに抗う技術やコトバは鍛えておかねばならないとは思う。穂村弘のように自分に適した戦略をもって。


目次:
第1章 短歌の感触
第2章 口語短歌の現在
第3章 <リアル>の構造
第4章 リアリティの変容
第5章 前衛短歌から現代短歌へ
第6章 短歌と<私>
第7章 歌人

 

穂村弘
1962 -