読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

加藤治郎 噴水塔(歌集)

加藤治郎 噴水塔(歌集)

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2015

 

文芸にかかわる人間としても、本職のシステムエンジニアとしても、大分上の領域にいらっしゃる方だと認識してはいても、著者の作品がどうしても響いてこない。『サニー・サイド・アップ』のころからとりあえずは目は通しているので、もう感性というか、資質の問題なのだと思う。

 

短歌5選: 

定型に閉じ込められた音韻はなにも救わずゆうぐれの虹
エクセルのセルの色合い迷いつつ暗澹と塗るパステルカラー
戦場の匂いは甘い 草はらに射精しまくる少年たちよ
春の歯車、春の歯車、ききききときみの装置はデタラメである
間違っているがあなたの考えである丁寧に切る阿波ういろかな
 

読み手としてどうなってほしいのか少しも読み取れないでいる自分、共感できないでいる自分が全面的に間違っているとは思えないところが何か苦しい。すっきりしない。

 

加藤治郎
1959 -