読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

知の再発見双書151 『ホメロス ― 史上最高の文学者』

知の再発見双書151
ホメロス ― 史上最高の文学者
アレクサンドル・ファルヌー著
本村凌二監修
遠藤ゆかり訳

www.sogensha.co.jp2010, 2011

 

フランスのギリシア美術史教授によるホメロス情報をコンパクトにまとめた一冊。本の半分くらいを占める図版が有益。


個人的にはp98に掲載されているデ・キリコオデュッセウスの帰還』(1968)が一番の収穫。
部屋の中に突如生まれたこってりとした粘菌のような白い海のなかを小さな手漕ぎ舟で漂流している若いオデュッセウスの無方向感にくらくら引き込まれそうになる。

さらに図版解説文からもうひとつ収穫。

イエズス会が経営する学校では「イリアス」も「オデュッセイア」も礼儀作法を書いた本としてあつかわれた(p89)

 本当か?
イエズス会 ホメロス 礼儀作法」でググってもほぼ何もでてこないよ…


目次:
第1章 神と人間と英雄の物語
第2章 ホメロスの実像
第3章 トロイアによる証明
第4章 ホメロス作品の分析的研究
第5章 ホメロスでたどる人類の歴史


アレクサンドル・ファルヌー
1950 -
本村凌二
1947 -
遠藤ゆかり
1971 -