読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

清川あさみ + 最果タヒ『千年後の百人一首』

清川あさみ + 最果タヒ
千年後の百人一首

リトルモアブックス | 『千年後の百人一首』 清川あさみ + 最果タヒ

2017

 

右側に元歌と清川あさみの絵、左側に最果タヒの訳という構成。
後付けには訳とあるが実際は元歌をベースにした最果タヒの企画詩。

 

22番 文屋康秀
元歌:
吹くからに秋の草木のしをるればむべ山風を嵐といふらむ
訳:
荒らしていくから、嵐なんだね。
壊れていく、ちぎれていく、しおれていく、割れていく、
しんでいく、枯れていく、ひび割れていくものたちが、秋の山風をかたどっていた。
瓦礫色、透明、瓦礫色、透明。秋は、実りの季節です、実りの、破壊の季節です。

 

右側の清川作品は、サイズの問題か光沢の問題かいまひとつ魅力が伝わってこない。
本人のオフィシャルサイトには一部こちらに掲載されている作品もあるので、チェックされることをお勧めする。

ASAMI KIYOKAWA

 

しかし、一番気になったのは祖父江慎のブックデザインだろうか。フォントと割付けがとても凝っているのに加え、清川あさみの絵の左側に付けられている「トノ、ヒメ、ボウズ、セミマル」の四種カテゴリの意味が最初は何のことかわからず、思わず謡曲の「蝉丸」とかにも手を出したりした。素直に百人一首でググれば「坊主めくり」のゲームに使用される札のカテゴリだと分かったが、清川あさみ作品で「坊主めくり」をするのはかなり難易度が高い。調べるのに時間がかかったおかげで「セミマル」は金魚三匹の図柄ということだけは覚えた。

 

清川あさみ
1979 -
最果タヒ
1986 -
祖父江慎
1959 -