プリーモ・レーヴィ全詩集 予期せぬ時に
訳:竹山博英
アドルノの「アウシュヴィッツ以降、もう詩は書けない」に対して、プリーモ・レーヴィは「アウシュヴィッツ以降、アウシュヴィッツ以外のことで詩は書けない」と言った。
書かざるを得なかった94の詩篇。
おまえには信じられないほど、私はおまえに似ている、
涙、精液、真珠層、真珠を
次から次へと分泌するよう強いられている。
もし石のかけらが私の外套膜を傷つけるなら、
無言で毎日、それに服を着せかけるのだ、おまえと同じように。
「真珠貝」 1983.09.30 p104
アウシュビッツという「石のかけら」があるために「次から次へと分泌するよう強いられている」私という存在の痛ましさに、書くことによって辛うじて耐えられていた時の歌。
プリーモ・レーヴィ
1919 -1987
竹山博英
1948 -