読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ギルガメッシュ叙事詩+イシュタルの冥界下り

ギルガメッシュ叙事詩+イシュタルの冥界下り
訳:矢島文雄

筑摩書房 ギルガメシュ叙事詩 / 矢島 文夫 著

 

ギルガメッシュ叙事詩

ギルガメッシュよ、あなたはどこまでさまよい行くのです
あなたの求める生命は見つかることがないでしょう
神々が人間を創られたとき
人間には死を割りふられたのです
第十の板書 酒屋の女主人の言葉 p112

食べ、眠り、子を育てる。4000年前も生の基本は変わらないのだと思う。が、基本のこと以外に過剰な期待を抱いて彷徨ってしまった古代オリエントの英雄の話。ノアの洪水譚の原型となっているエピソード部分もしっかり残っていて一読の価値あり。

 

【イシュタルの冥界下り】

『イシュタルの冥界下り』は七つの門を通る冥界往還記。門を通るごとに地上の光のもとで意味のある装飾品をひとつずつ外し、また身にまとう。「着衣のマハ」から「裸のマハ」を経てもう一度「着衣のマハ」へ。以下でスタイリッシュに映像化してくれるといい。

演出:蜷川実花
イシュタル:川口春奈
エレシュキガル:冨永愛
ナムタル(番人):井浦新
アスシュミナミル:瑛太

第六の門に入らせてから、彼は彼女の腕環と足環をとって持ち去った。
「なにゆえ、番人よ、私の腕環と足環を持ち去るのか。」
「入りたまえ、わが奥方、これが大地の女神のおきてです。」
p220

  

矢島文雄
1928 - 2006