読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

岩波文庫版 旧約聖書 詩篇

旧約聖書 詩篇 
訳:関根正雄

www.iwanami.co.jp

岩波文庫で読む旧約聖書詩篇150篇。通して読むと旧約の神は明確にイスラエルの神なのだということがわかる(「イスラエルの神、ヤㇵウェは」など)。

人々が求めるのは法の下での安寧。豊穣。迫害と飢えが憎むべきもの。
これは民族や信じるものが違ってもほぼ同じで、問題は法の及ぶ範囲と法の内容(普遍性)になるのだろう。

 

今回、岩波文庫版の詩篇を読んで少し驚いたのは104「創り主なる神」の以下の詩句。 

海をも支配する者よ、海は大いにして広く
そこには無数の動くもの、
大小の生き物が満ちている。
そこに船が行きかい、
あなたが遊び道具につくられたレビヤタンがいる。
みなあなたが彼らに食物を
時に及んで与えられるのを待つ。
あなたがお与えになると彼らは集め、
み手を開かれると良きものに飽き足りる。

 

「あなたが遊び道具につくられたレビヤタン」とは少し大胆な訳ではないだろうか?
自宅にあった日本聖書協会の口語訳聖書(1955年改訳版)では次のようになっている。

かしこに大いなる広い海がある。
その中に無数の者、大小の生き物が満ちている。
そこに舟が走り、
あなたが造られたレビヤタンはその中に戯れる。
彼らは皆あなたが時にしたがって
食物をお与えになるのを期待している。
あなたがお与えになると、彼らはそれを集める。
あなたが手を開かれると、彼らは良い物で満たされる。

 

印象はだいぶ変わる。
訳者関根正雄の解説では、1973年出版の岩波文庫版の訳は北西セム語の最近の研究を取り入れたもので、「従来とは非常に異なったものとなってきている」ということなのだが、

 読み方の理由その他は「注釈」では全部省いた 

 ということもあり、その他研究書に当らなければ一般読者には全く判断がつかない状態にある。
※今回の読書メモはここまで。

 

関根正雄
1912 - 2000