全十二巻概要:
巻数 | 行数 | 概要:私的な要約、あらすじ |
第一巻 | 756 | トロイア陥落後、アエネーアースは七年ものあいだ海上をさまよい、その後、天上の神々の争い・はかりごとのなか、カルターゴーの地に到着、女王ディードーの歓待を受ける。 |
第二巻 | 804 | アエネーアースはディードーにトロイア陥落の様子を話す。敗戦と妻を亡くしながらの戦場退避まで。 |
第三巻 | 718 | 新トロイア再建のためイタリアへ向けて船を進めるなか海難に遭いカルターゴ―の地に辿り着くまでをアエネーアースが物語る。 |
第四巻 | 705 | アエネーアースへの恋心を女王ディードーが妹アンナに打ち明ける。女神ユーノーほかのたくらみで、ディードーとアエネーアースはいったんは結ばれるが、主神ユーピテルの介入により、アエネーアースの本来の使命であるイタリア行きが選択される。カルターゴーを去るアエネーアースに心を焼かれたディードーは悲嘆のうちに自害する。 |
第五巻 | 870 | 航海の途中シキリアに漂着し、その地のトロイア系の王に迎え入れられる。この地で亡き父アンキーセスを弔うための競技会を開催する。女神ユーノーはイタリア行きを妨害しようとアエネーアースの停泊中の船に火を投げ入れるが、主神ユーピテルが鎮火させ、再びイタリアへ向けて出航させる。 |
第六巻 | 901 | クーマエの地に到着。この地で巫女シビュルラに新たな戦闘のわざわいの予言を聞く。アエネーアースは冥界にいる父アンキーセスに自らの遂行すべき運命を確かめるべく、巫女シビュルラと共に冥界に下る。父の影と再会、新生国のたどる道を聞いたのち、地上に戻り再び船を出航させる。 |
第七巻 | 817 | イタリアの地、ラウレンテース族の土地に上陸する。王ラティーヌスは娘の婿に異国の英雄がなると神託により予言されていたので、アエネーアースからの土地迎え入れの願いを受け入れる。しかし、かねてから同族といわれているルトゥリー族の王トゥルヌスを婿として迎えたいと考えていた王妃アマータは王の判断に狼狽、そこに反トロイアの女神ユーノーが付け入り王妃を狂乱させ王に翻意を迫り、トゥルヌスも焚き付けて、アエネーアースとの戦いを起こさせる。 |
第八巻 | 731 | 両陣営、対戦の準備と援軍の要請の話。アエネーアースの母ウェヌスは息子のために火の神ヴォルカーヌスに武器を造らせる。 |
第九巻 | 818 | 開戦。トゥルヌス側の先制。アエネーアースの息子アスカーニウスの初陣。トゥルヌスの活躍があるがトロイア軍の数的優位が明らかになり撤退。 |
第十巻 | 908 | 両陣営につく神々の和解が不調に終わり、戦いがつづけられる。アエネーアースの援軍についたパㇽラースがトゥルヌスとの戦いで戦死。その後のアエネーアースの弔いの戦い。トゥルヌス軍の劣勢と危険を見て取った女神ユーノーは神ならではの力でトゥルヌスを劣勢の地から救い出す。その後もアエネーアースの猛威はおさまらず、敵将メーゼンティウスを討ち取る。 |
第十一巻 | 915 | 一時休戦、戦死者の葬い。新たな援軍もたのめず形勢の不利をさとった王ラティーヌスは評議会を開き停戦和睦を提案するが、その場でドランケスがトゥルヌスの戦いざまを愚弄したためトゥルヌスは激高し戦闘継続を主張、その間にアエネーアースは戦列を整えラティウムに進軍を開始した。敵襲の報を受け、トゥルヌスは女将軍カミルラの騎馬隊を向かわせるが活躍むなしく戦死。カミルラの死を悼む女神ディアーナは、彼女を討ったアㇽルンスをニンフのオービスを遣って殺害。見方の敗走を聞きつけたトゥルヌスが前線に赴くところで夜のとばりが下りて一時停戦となる。 |
第十二巻 | 957 | ラティウム軍の士気の低下に憤るトゥルヌスは、アエネーアースとの直接対戦をラティーヌスに訴え、受け入れられる。アエネーアースもこれに応え、両軍注視のもと契約の場が設けられるが、ユーノーの力添えを得たトゥルヌスの妹ユートゥルナの行動で、一転戦闘が始まってしまう。アエネーアースは傷つきいったん退くが、母ウェヌスの助力で回復し、すぐに戦いに立ち戻る。激しい戦闘のなか劣勢のラティウム軍が後退し、トロイア軍が城下にせまるを見て王妃アマータは自死を択び、王ラティーヌスは町をさまよう。心萎えかけたトゥルヌスは妹に鼓舞され、再び共に戦闘に向かうものの、ユートゥルナは神々の意志で地上から消え、トゥルヌスはアエネーアースに討たれて終る。 |
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ウェルギリウス
BC29-AC19
泉井久之介
1905 - 1983