「九位」「花鏡」に比べてより具体的な芸道の教えがつづられている。
岩波文庫版はひらがな・カタカナに漢字のルビ(傍漢字)がついていて、文書の形態としての面白さも感じられる。
たとへ、天性の名人なりとも、稽古の次第/\、道に立ち入て沙汰せずは、末あるまじきなり。その一人は名人なるべし。されば、名人の中に、多くは末なきこと多し。たゞ、中初・上中・下後と稽古して行ば、始終よろしかるべし。みな下から入ゆゑに、道絶ゆるなり。よく/\慎むべし。(三〇「稽古の次第」)
※日本古典文学大系 『歌論集 能楽論集』西尾實校注から情報を抽出。カッコ内の段表示は岩波文庫版に準拠。
世阿弥
1363 - 1443