読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

長田弘『死者の贈り物』(2003)

今回は三日で三回ぐらい読んだ。だんだん詩の言葉が沁みこんでくる。

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いつのときもあなたを苦しめていたのは、
何かが欠けているという意識だった。
わたしたちが社会とよんでいるものが、
もし、価値の存在しない深淵にすぎないなら、
みずから慎むくらいしか、わたしたちはできない。
(「こんな静かな夜」p11)

 静かな諦念、静かな肯定のコトバを浮上させて、傷まないように留めておく。

貝殻をひろうように、身をかがめて言葉をひろえ。
人のいちばん大事なものは正しさではない。
(「渚を遠ざかってゆく人」p8)

 60代に入ったときの詩人のコトバ。


長田弘
1939 - 2015