読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ロジェ・カイヨワ『聖なるものの社会学』

原題は『現代社会学に関する四つのエッセー』(1951)。

 

戦争と祭とは、どちらも動揺と喧騒、そして大いなる会合の時期である。そしてその間、貯蓄経済は濫費経済によって代わられる。そこでは交易や生産によって蓄積され、営々として手に入れられたものが、惜気もなく消費され、破壊される。(中略)既存のあらゆる差別も、新しい位階によって霧消する。慣れた労働技術、私生活の細々した義務、日常生活の規則的なリズム、それらが厳格で熱狂的な世界によって代わられる。(「戦争のめまい」p246)

保守的になってきているので段階的な変化が好ましいと思っているが、解体・再構築の魅力というものには目を配っておく必要はある。効果のほどは分からぬが、巻き込まれそうになった時の自衛・緩衝のために。 

基本的には、聖に対する俗、晴に対する褻をベースに生きるのが年相応の振舞いと心得ている。

 

筑摩書房 聖なるものの社会学 / カイヨワ 著

 

目次:
Ⅰ 死の表象―アメリカ映画における
Ⅱ 金のつかい方―ラテン・アメリカにおける日常経済と賭博
Ⅲ カリスマ的権力―偶像としてのアドルフ・ヒトラー
Ⅳ 戦争のめまい

 

ロジェ・カイヨワ
1913 - 1978
内藤莞爾
1916 - 2010