読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

竹内薫『数学×思考=ざっくりと いかにして問題をとくか』(2014)

数学系思考がベースのビジネス書。基本的にゴシック文字を記憶にとめて、あとは実践に向かうようにできているのではないかと考える。知識も必要だけど、現場でどれだけ使えるか、その領域で勘が働いているかが重要。実務にあっては、資格よりも経歴が重要。プロテスタント神学が専門の佐藤優さんは、日々の勤行の有無がその人の霊性として必ずあらわれるということをいっているが、賃金労働者の仕事の技術やマネジメント的な側面についても日々の活動がその人の佇まいにあらわれてくると思う。だからこそ、その道その道での地道な継続は重要。時に、ビジネス書や専門書を読んで武器の補給とメンテナンスも必要。休みすぎたりさぼったりすると勘を取り戻すのが大変。また一方では、雇用についての思考保留状態が過ぎて、飼われっぱなしの状態にいるのも危険。現在のポジション、現在の契約関係において情報格差、権利格差が自分側に不利にはたらいていないかどうか見極めることも必要。考えの方向性をある程度意識して分散させておきたい。

「考える」ことの根底には、「信用体系」のようなものがあるので、それを常に意識していると、話が通じないときには、この人と話が通じないのは論理レベルではなくて、その下にある「信念体系」が違うから相容れないんだと解釈できるようになります。そういうときはしようがないので、相手とは「住んでいる世界が違う」から自分とは違うことをいっているんだ、と捉えることが、相手の理解への第一歩になります。(「ざっくり思考の落とし穴:信念体系を分析してみよう」p163)

まずはざっくり相対化。相手を理解できる時は理解し、受け入れられない時は離れていくための道を探る。

 

数学×思考=ざっくりと - 丸善出版 理工・医学・人文社会科学の専門書出版社

 

内容:
1 オーダー(規模)を把握してみよう ― フェルミ推定でざっくりと
2 地球の「皮」はどれくらい厚いか考えてみよう ― スケール感でざっくりと
3 あらゆる予測に活用してみよう ― 最小二乗法でざっくりと
4 まず迷ったら数値的に考えてみよう ― モンテカルロ法でざっくりと
5 枠の「外」に出て発想の殻を打ち破ってみよう ― ソファ問題をざっくりと
6 もっと一般化して考えてみよう ― モンティ・ホール問題をざっくりと
7 集められたデータの本質を見抜いてみよう ― 統計的手法でざっくりと
8 ざっくり思考の落とし穴:信念体系を分析してみよう ― 脱・非論理的思考でざっくりと

 

竹内薫
1960 -
ジョージ・ポリア
1887 - 1985