カントの『純粋理性批判』における自我論の読み解き。カント入門に適した分量と語り口。
「魂(私)は実体である」という命題は、客観的認識を表すものではなく、単なる理念を表しているだけだと自覚していれば、まったく正当である、魂とはあたかも永遠不滅の実体であるかのようなものであり、神とはあたかもいるかのようなものである、という感じはごく自然である。われわれは、あくまでもこうした自然な感じに留まっていればいいのです。(第1章「実体としての魂の批判」p70 ※太字は実際は傍点)
超越論的統覚について今まで読んできた中で一番わかりやすく説明してくれた解説書かもしれない。各章題にも明晰さがあらわれていると思う。
【付箋箇所】
42, 45, 70, 88, 94, 127, 130, 178, 190
内容:
プロローグ カントはなぜ難しいのか?
第1章 実体としての魂の批判
第2章 意識の単なる形式としての私
第3章 経験を可能にする私
第4章 内的経験
第5章 他者
第6章 表象の手前―存在する私
中島道義
1946 -
イマヌエル・カント
1724 - 1804