読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

中川純男 編 哲学の歴史 第三巻 神との対話 【中世】信仰と知の調和(2008)

人物ベースで中世の神学を紹介してくれる一冊。各神学者の研究者が解説を担当している。年代を追うことで西欧に近代がどのようにして芽生えてくるかを感得できるつくりになっていると思う。

哲学の歴史 3|全集・その他|中央公論新社

付箋箇所
101, 109, 121, 150, 214, 221, 249, 365, 370, 420, 423, 448, 471, 518, 595, 603, 608, 622, 665, 672

 

アウグスティヌス

神を転倒的に摸倣することが必然的にもたらす不安は、自制の契機ともなりえ、善であり神に帰しうる。神の憐れみ、恵みはいたるところにあって、人間に苦みを味わわせ、罪を反省するための機会を準備している。(「アウグスティヌス中川純男・松崎一平 p121)

 

エリウゲナ

神はいかなる意味でも「何か」ではないから、神は自分が何であるかを知らない。神は自分が自分が被造物であるとは知らないだけ、自分が被造物を超えていることを理解するのであるから、「神の無知は最高にして真の知恵である」。神は、被造物を想像することにおいてはじめて自己が何であるかを知るのである。(「エリウゲナ」今義博 p214)

表象の不可能性についての西欧的展開はおもに神をめぐって行われ、東洋では空観として展開されていることに思いをめぐらした。

 

ドゥンス・スコトゥス

スコトゥスは、超越論的概念である「存在」の一義性にもとづいて存在一般に関する「形而上学」を基礎づけ、本性の実在的一性にもとづいて経験可能な実在に関する「自然学」を根拠づけたことがわかるだろう。(「ドゥンス・スコトゥス」小川量子 p622)

 

内容:
総論―信仰と知の調和
アレクサンドリアの神学
アウグスティヌス
継承される古代
アンセルムス
ビザンティンの哲学
一二世紀の哲学
古典イスラームの哲学
スコラ哲学とアリストテレス
トマス・アクィナス
ボナヴェントラ
ラテン・アヴェロエス主義
ガンのヘンリクス
ドゥンス・スコトゥス
オッカム
エックハルト