読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

佐藤優『世界宗教の条件とは何か』(2019)

2017年9月から12月にかけて創価大学にて行われた課外連続講座を書籍化。

 

キリスト教においては、苦難に耐えることと希望がセットになっています。「希望を持つ人は、苦難を克服することができる。また、現実の苦難を耐えることが将来の救いにつながる」という考え方が、キリスト教の希望観の特徴です。(第4章「世界宗教は社会とどう向き合うべきか」p119)

 

政治に一切タッチしない宗教と、創価学会のように積極的に政治にかかわる宗教 ―― 二つを比べると、一見、前者のほうが高尚で清らかに見え、後者のほうが世俗的で汚れているように見えるのでしょう。しかし実際には、政治に関わらず宗教活動だけしているほうが、はるかに楽なのです。現実の外側に身を置いて、きれいごとだけ言っていればいいのですから。
(中略)
世界宗教の「与党化」は必然ですが、それは言い換えれば、「世界宗教とは、政治の現実の泥にまみれるなかで、自分たちの価値観を実現しようとする困難な道を選ぶ宗教のことだ」ということなのです。(第4章「世界宗教は社会とどう向き合うべきか」p133-134)

 

希望は「自分たちの価値観の実現」への見通しがあること、担保されていること。まず価値観がしっかりしていなければ希望はもてないというところだろうか。

信仰がない場合は、抑圧と不安の少ない世界の具体的イメージを集めることあたりから希望が見えはじめるかもしれない。


佐藤優
1960 -