読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

村重寧 『もっと知りたい俵屋宗達 生涯と作品』(2008)東京美術

琳派の生みの親、俵屋宗達橋本治が一番好きだといっていた、俵屋宗達。はじめてちゃんと触れてみるための一冊。

早い時期に「平家納経」の補修事業に参与し、平安の原画を通して王朝美の粋に触れ、また自らも欠損した六図の補作を手掛けたことは、のちの宗達芸術の方向を決定づけたといえる。そのあふれんばかりの美麗な装飾表現は、彼の芸術にも豊かに反映されることとなる。(p8)

平家納経の「鹿図」「槙図」(1602)にもみられる少しまるみのある宗達の動物と植物はとても魅力的だ。
それかから、琳派の名高い画題となった「風神雷神図」は、宗達が案出した「たらしこみ」の技法で表現された雲の質感がすばらしく、後代の作品からも抜き出ているように思う。

東京美術 村重寧『もっと知りたい俵屋宗達 生涯と作品』

村重寧
1937 -