読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

井波律子『中国名詩集』(2010)

前漢の高祖劉邦から20世紀の毛沢東までの漢詩百三十七首。
中国の詩は嘆きも喜びもスケールが大きく強さがある。

竹石 鄭板橋(ていはんきょう:清)

青山(せいざん)を咬定(こうてい)して放鬆(ほうしょう)せず
根を立つるは 原(も)と破巌(はがん)の中(うち)に在り
千磨万撃(せんまばんげき) 還(ま)た堅頸(けんけい)
任爾(さもあらばあれ) 東西南北の風

 

青々と樹木の茂る山にしっかり生えて、ゆるぐことがない
根を張ったのは、もともと砕けた岩のなか。
どれほど摩擦や衝撃をうけようと、なおも堅くて強靭。
たとえ東西南北、どこから風が吹きつけようとも。

 

こんな竹は日本では見かけないし詠われないと思う。力強い竹の根への注視。不撓不屈が成立しているところのすがすがしさ。

 

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井波律子
1944 -