読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

ジョズエ・カルドゥッチの詩

ジョズエ・カルドゥッチ
イタリア 1835 -1907
1906年ノーベル文学賞受賞

ソネットに優れている。

 

朝と夜

雨に洗われた朝 たちまちに
清らかな青さに空はかがやき、
五月の太陽から 神の微笑は
にこやかに地上に降りてくる。

沈んだ魂はよみがえり わたしの思いは
すばやく翼をひろげて、昇りゆく
ひばりのように 歌はあなたの瞳の
太陽にさえずり舞いあがる、だが、

わたしの心のなかには暗い瞳の
光が燃えあがり 苦しくも 見知らぬ
岸辺への願いはさまよい、また

人知れず台地から眺めれば、
月は 黙した白亜の街並みに
無限の憂愁をささやきかけた。

(河島英昭、川名公平訳)


朝と夜、明るさと暗さ、上昇と下降、太陽と月などの対比の妙。

 

主婦の友社 ノーベル賞文学全集23より