読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

雲英末雄『芭蕉の孤高 蕪村の自在 ― ひとすじの思念と多彩な表象』(2005)

題名のとおり芭蕉と蕪村を対比させて描き出している一冊。

芭蕉の「高く心を悟りて俗に帰るべし」(『三冊子』)は、「風雅の誠」などの理想を高くもって、日常卑近なものにあたることを説いたものである。一方、蕪村は日常卑近な俗を用いながら、それを超越した高みを求める必要を説き、それは多く書を読むことが肝要で、多く読めば書巻の気が上昇し、市俗の気は下にさがるというのである。芭蕉が「帰俗」の主張を態度・心構えによって示したのに対して、蕪村は高い知識や教養をつむことによって俗は離れるものだという方法論から説いている。(第7章「俳画作者蕪村」p209)

旅に生きた芭蕉、室内に生きた蕪村。

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内容:
第1章 「俳諧」とは何か
第2章 蕉風俳諧はどのようにして成立したか
第3章 芭蕉の推敲を考える
第4章 芭蕉俳諧と筆跡をさぐる
第5章 芭蕉と元禄俳人の旅
第6章 俳諧艶隠者三井秋風
第7章 俳画作者蕪村

雲英末雄
1940 - 2008
芭蕉
1644 - 1694
蕪村
1716 - 1784