読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

吉川幸次郎『漱石詩注』(2002)

岩波文庫で読む漱石漢詩。今回は青年期の作品が印象深く残った。

漫識読書涕涙多
暫留山館払愁魔
可憐一片功名念
亦被雲烟抹殺過

漫りに読書を識りて涕涙多し
暫く山館に留まりて愁魔を払う
憐れむ可し一片功名の念
亦た雲烟の被に抹殺過さる

帰途口号のうち一首。箱根山を去ろうとしての作。明治二十三年(1890年)、漱石23歳の作品。
(サイボーグ化などして)生きていれば今年2020年、漱石は153歳。果たしてどんなものを書き進めているだろうか?(書いていたら、すくなくみつもっても高橋源一郎水村美苗よりいいものだろうな・・・) それとも、何も書かなくなってしまっているだろうか? 画くらいは描いているだろうか?


www.iwanami.co.jp

夏目漱石
1867 - 1916
吉川幸次郎
1904 - 1980