読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

河野元昭『浮世絵八華1 春信』(1985)

図版七十点と俳諧美人画)絵本『青楼美人合』全五冊で春信を味わえる一冊。むき卵のようなつるんとした顔立ちの細身の美人が地上のしがらみにとらわれず重さがないようにすっと佇んでいる姿が見るものを夢見心地に誘ってくれる。画題に労働や家事の場面を用いることが多いのに、俗臭が出ないのは不思議なことだ。

春信の魅力に取りつかれた詩人野口米次郎は「雪中相合傘」に詩を捧げ、春信に関する著作もものしているという。

霏々たる大雪さへ暖かさうに見えるではないか、彼等のひそひそ話は何を語るであろうか。恐らく地上の恋愛であるまい。諸君に聞く耳あらば彼らの声を聞け、庭の薔薇が今は失つて仕舞って所有しない言語の響を聞くであろう。

野口米次郎の春信関連の文章も読んでみたいと思った。

収録図版:

1   お仙と団扇売り
2   見立竹林七賢
3   水売り
4   見立高砂
5   お百度参り
6   雷
7   見立孟宗
8   見立小野道風
9   座舗八景・扇の春風
10   座舗八景・台子の夜雨
11   座舗八景・鏡台の秋月
12   座舗八景・琴路の落雁
13   座舗八景・手拭掛帰帆
14   座舗八景・時計の晩鐘
15   座舗八景・行燈の夕照
16   座舗八景・塗桶の暮雪
17   見立鉢ノ木
18   六玉川・調布の玉川
19   雨の夜詣で
20   螢狩り
21   夜の梅
22   めだか掬い
23   梅の枝折り
24   柳の川岸
25   三味線をひく男女
26   ぽっくりの雪
27   雪中相合傘
28   縁先美人
29   縁先物
30   蚊帳の内外
31   蚊帳を出る女
32   紅葉をたく
33   洗い張り
34   風流うたひ八景・絃上の夜雨
35   風流うたひ八景・羽衣の落雁
36   風流うたひ八景・三井寺晩鐘
37   風流うたひ八景・高砂の帰帆
38   風流うたひ八景・ゑびらの晴嵐
39   風流うたひ八景・松風の秋風
40   風流うたひ八景・紅葉狩夕照
41   風流うたひ八景・鉢木の暮雪
42   大門口
43   機織り
44   阿倍仲麿
45   源重之
46   藤原敏行朝臣
47   源信明朝臣
48   五常・仁
49   五常・義
50   五常・礼
51   五常・智
52   五常・信
53   風流四季哥仙・二月 水辺梅
54   風流四季哥仙・雪の犬
55   風流四季哥仙・三月
56   風流四季哥仙・卯月
57   風流四季哥仙・五月雨
58   風流四季哥仙・中秋
59   風流四季哥仙・神無月
60   風流六哥仙・僧正遍照
61   風流江戸八景・浅草晴嵐
62   浮世美人寄花・松坂屋内野風
63   浮世美人寄花・山しろや内はついと
64   草履けんじょ
65   子供の相撲
66   騎馬童子
67   羽根つき
68   見立東下り
69   見立寒山拾得
70   鷺娘

 

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鈴木春信
1725 - 1770
野口米次郎
1875 - 1947
河野元昭
1943 -