読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

大澤昇平『AI救国論』(2019)

東大史上最年少准教授という肩書をポジティブに強調しながら論が進められる一冊。競争が好きで、大体の競争には勝ち進んできた人なんだなという印象を持った。

今の世界はグローバル資本主義であり、このゲームにおいて金を集められることは、種としての生存確率を高めることと等価である。文字通り、この世界で最も偉いのは「金を集められる人間」なのだ。この後も、AとBどちらがよいか、という議論が出てきた場合、すべて資本をベースに議論することにする。(「なぜコンサルタントがエンジニアより偉いのか」p58)

資本主義から抜け出ることは基本的に無理なことは理解しているつもりだが、これほど極端に資本の視点一本で押し通されてしまうと気にかかりつつも距離を置きたくなる。技術的にすごい人であることは間違いないし、パースのアブダクションなどを思考のベースに据えているところなどは興味深いので、もう少し人物を調べようとウィキペディアを覗いてみたところ、SNS上の発言で炎上していることを知った。五年先くらいにこの人はどうなっているだろう?

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大澤昇平
1987 -