読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

別冊宝島2440 田辺昌子監修『肉筆浮世絵 美人画の世界』(2016)

菱川師宣、鳥居清信から歌川国芳月岡芳年まで22人、82点の作品で浮世絵美人画の世界を紹介。
幕末に向かう溪斎英泉以降の19世紀美人画に描かれる流行の面長のつり目顔がどうして流行ったのか? 自分の趣味と違うものに対する興味が湧いた。

文政期(1818~30)に流行したのは、それまでの潮流とはガラリと変わった溪斎英泉が描くところの独特の美人である。やや大きめの顔に、つり上がった切れ長の目と少し空いた受け口の表情をし、首をすぼめて背を丸めた「猫背猪首(ねこぜいくび)」という独自のスタイルだ。たんに愛らしく綺麗な女性ではなく、情念あふれる官能的な美人は、幕末の美意識を映し出すような怪しい雰囲気を漂わせている。(「浮世絵美人画の変遷」p101)

見慣れてくれば、官能性がわかってくるだろうか?

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