読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

小川和也『デジタルは人間を奪うのか』(2014)

テクノロジーには良い側面もあれば危険な側面もあるということの再確認。テクノロジーの進歩を享受しつつ新しい世界の姿に適応していく労力も惜しんではならない。

本来、デジタルの船に乗り込んだわれわれには、これまでの偉大な想像よりももっと偉大な創造を成し遂げるチャンスが与えられているはずだ。デジタルの船がわれわれを導こうとしている世界は、きっと新たな可能性に溢れた大陸なのではないだろうか。その大陸に辿り着くための原動力は、人間の思考だ。デジタルの船の中でこそ、思考することの価値を理解し、情報や知識と思考の掛け算というテコの原理を働かせよう。それにより、すばらしい発見や発明、創造がなされ、よりよい未来が切り拓かれるはずだ。
デジタルに人間を奪われるのではなく、豊かな未来のためにデジタルを生かす。人間から思考する力を奪うデジタルの力学は、まるで未必の故意のようだ。しかしそれは、われわれ人間自身の気づきと努力で回避することができる。(第6章 「考える葦」であり続ける p185)

待ち受けるだけではなく、迎え入れ、自分も変化していく。AIとともに活性化した将棋界のように。

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内容:
はじめに
序 章 デジタルの船からは、もはや降りられない
第1章 デジタル社会の光と影
第2章 モノのネット化で変わる生活
第3章 ロボットに仕事を奪われる日
第4章 仮想と現実の境界線が溶ける
第5章 脳と肉体にデジタルが融合する未来
第6章 「考える葦」であり続ける
終 章 デジタルは人間を奪うのか
おわりに


小川和也
1971 -