読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

野口米次郎「蟋蟀」(Seen and Unseen 1896『明界と幽界』より)

蟋蟀

 小川の辺で蟋蟀が鳴き始めると私の詩歌は始まる、
 私の詩歌の第二章は静止の曲だ………
 さてまた、第三章は何であらうか。
 ああ、神様は宇宙一杯の掌を私の原稿紙の上に載せ給ふ。
 主よ、この憐れな僕(しもべ)の為めその掌をのけ給へ。
 私の願は無駄だつた………
 ああ、いつまで私は瞑想をつづけねばならないか。
 
(Seen and Unseen 1896『明界と幽界』より)

野口米次郎
1875 - 1947
 
野口米次郎の詩 再興活動 No.011