絵師だけではなく彫師、摺師の卓越した技術をやさしく教えてくれる一冊。紹介だけでなく消しゴム版画で実践に誘うところも魅力的。制作過程の紹介から簡易体験までの一連の流れをまとめあげた24ページから47ページまでがこの作品の味わいどころ。そこを読んだうえでの57ページの精妙この上ない喜多川歌麿「針仕事」や、52・53ページ見開きの春信版本と技法を凝らした完成作の競演など、非常に楽しく眺めていられる。
命を削るように筆を走らせた絵師や、技を極めた彫師、摺師の存在を決して忘れてはなりません。浮世絵の傑作は、時代を超えて今も私たちの心を揺さぶり続けます。
(「はじめに」p4)
目次:
第1章 浮世絵とは何か どうつくられるのか
第2章 有名絵師を知る 傑作を味わう
第3章 多彩なジャンルを愉しむ
深光富士男
1956 -