読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

新潮日本古典集成『萬葉集 一』

巻一~巻四(歌番号 0001~0792)
青木生子、井出至、伊藤博、清水克彦、橋本四郎 校注

字が大きくて空白が多いつくりになっているので何となく読みやすい。全4516首、読み通せるかもしれないという気分にさせてくれるシリーズ。

0004 たまきはる 宇智(うち)の大野に 馬並(な)めて 朝踏(あさふ)ますらむ その草深野(くさふかの)

0082 うらさぶる 心さまねし ひさかたの 天(あめ)のしぐれの 流れ合ふ見れば

0207 天飛(あまと)ぶや 軽(かる)の道(みち)は 我妹子(わぎもこ)が 里にしあれば ねもころに 見まく欲(ほ)しけど やまず行(ゆ)かば 人目(ひとめ)を多み 数多(まね)く行かば 人知りぬべみ さね葛(かづら) 後(のち)も逢はむと 大船(おおふね)の 思ひ頼みて 玉かぎる 岩垣淵(いわかきふち)の 隠(こも)りのみ 恋ひつつあるに 渡る日の 暮れ行くがごと 照る月の 雲隠(がく)るごと 沖つ藻(も)の 靡(なび)きし妹(いも)は 黄葉(もみちば)の 過ぎてい行くと 玉梓(たまづさ)の 使(つかひ)の言へば 梓弓(あづさゆみ) 音(おと)に聞きて 言はむすべ 為むすべ知らに 音のみを 聞きてありえねば 我が恋ふる 千重(ちへ)の一重(ひとへ)も 慰(なぐさ)もる 心もありやと 我妹子(わぎもこ)が やまず出で見し 軽(かる)の市(いち)に 我が立ち聞けば 玉たすき 畝傍(うねび)の山に 鳴く鳥の 声も聞こえず 玉桙(たまほこ)の 道行く人も ひとりだに 似てし行かねば すべをなみ 妹(いも)が名呼びて 袖ぞ振りつる

0234 御笠山 野辺ゆ行く道 こきだくも 荒れにけるかも 久(ひさ)にあらなくに

0482 うつせみの 世のことにあれば 外(よそ)に見し 山をや今は よすかと思はむ

0736 月夜(つくよ)には 門(かど)に出で立ち 夕占(ゆふけ)問ひ 足占(あしうら)をぞせし 行かまくを欲(ほ)り