読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

新潮日本古典集成『萬葉集 二』

巻五~巻九(歌番号 0793~1811)
青木生子、井出至、伊藤博、清水克彦、橋本四郎 校注

令和の由来「初春の令月にして、気淑く風和ぐ」は、巻五、梅花の歌三十二首の序にある。後から調べ直して改めて気づく程度。
この一冊では、日本は海に囲まれて海と生きている国であるということを強く感じた。

 

0793 世間(よのなか)は 空(むな)しきものと 知る時し いよよますます 悲しかりけり

0893 世間(よのなか)を 厭(う)しと恥(やさ)しと 思へども 飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば

0915 千鳥鳴く み吉野川の 川音(かはおと)の やむ時なしに 思はゆる君

0936 玉藻刈る 海人娘子(あまをとめ)ども 見に行かむ 舟楫(ふなかぢ)もがも 波高くとも

1080 ひさかたの 天照(あまて)る月は 神代(かむよ)にか 出(い)で反(かへ)るらむ 年は経(へ)につつ

1201 大海(おおうみ)の 水底響(みなそことよ)み 立つ波の 寄せむと思へる 磯のさやけさ

1302 海神の 持てる白玉 見まく欲(ほ)り 千(ち)たびぞ告(の)りし 潜(かづ)きする海人(あま)は

1646 ぬばたまの 今夜(こよひ)の雪に いざ濡(ぬ)れな 明けむ朝(あした)に 消(け)なば惜しけむ