読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

新潮日本古典集成『萬葉集 三』

巻十~巻十二(歌番号 1812~3220)
青木生子、井出至、伊藤博、清水克彦、橋本四郎 校注

水の上にかく数字はなんだろうかと考えてみる。漢数字の一が一番妥当なんだろうか。
水がある惑星の古い歌の数々が美しい。

 

1861 能登川(のとがは)の 水底(みなそこ)さへに 照るまでに 御笠(みかさ)の山は 咲きにけるかも

2314 巻向の 檜原(ひはら)もいまだ 雲居(くもゐ)ねば 小松が末(うれ)ゆ 沫雪(あわゆき)流る

2318 夜(よ)を寒(さむ)み 朝戸(あさと)を開き 出(い)で見れば 庭もはだらに み雪降りたり

2433 水の上(うへ)に 数書くごとき 我が命(いのち) 妹に逢はむと うけひつるかも

2482 水底(みなそこ)に 生(お)ふる玉藻(たまも)の うち靡(なび)き 心は寄りて 恋ふるこのころ

2778 水底(みなそこ)に 生(お)ふる玉藻(たまも)の 生ひ出(い)でず よしこのころは かくて通はむ