読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

野口米次郎「風」(『夏雲』1906 より)

 私は風が秋草の陰で溜息するのを聞く、私は風が干潮の間に死を溜息するのを聞く………秋草の陰で死んだ風は永遠に眠る。潮は退(ひ)く………私の疲れた空想も退きゆく。
 私は私の影を秋草の陰と干潮の間に見るであらう、溜息し溜息する私の一つの影を見るであらう。
 
(『夏雲』1906 より)

野口米次郎
1875 - 1947
 
野口米次郎の詩 再興活動 No.027