読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

野口米次郎「影の放浪者」( The Pilgrimage 1909『巡礼』 より )

影の放浪者

眼には見えねど神の御手に招かれて、
そよ吹く銀の風の如く、聖き空をめぐる。
胸に秘むる一曲の歌………我等は祈禱の童僕(わらべ)だ。

我等の歌は、亡びし都城の跡を知らず、
王国の哄笑も我等の足を止めない、
我等の心は遠く、太陽、風雨を友として、
聖なる大路をさまよふ………ああ、我等は影の一旅客だ。

( The Pilgrimage 1909『巡礼』 より )

野口米次郎
1875 - 1947
 
野口米次郎の詩 再興活動 No.034