数学が苦手な社会学者古市憲寿が狂言回しとなって、統計分析の初歩をレクチャーしてもらう対談形式の一冊。用語に馴染むというところからはじめてくれているので、敷居がとても低く初心者に優しい。IBMのSPSSを実際に操作しながら統計分析の手法を学んでいくという実践的な側面もある。SPSSは無料評価版はあるものの有償ソフトなので、Rとかでやってもらった方がありがたかったが、それはまた別のプロジェクトが必要なのだろう。実際に統計分析を使わないことにはすぐに忘れてしまうおそれはあるものの、すべて忘れたときはこの本を覗いて勢いをつけてもらうという安心感はできた。
個々の人間というのは、ある意味で変数の束なわけで、けっして一枚岩で語れるものではないです。人は性別・階層・地域をはじめとして、いろいろなものを背負って生きていて、それらから影響を受けている。それはときとして、本人も意識していないものであったりする。そこでこういう人はこういう傾向、こういう人は別の傾向っていう分析が必要になる。(「巻末対談」本田 p232 〔旧版〕)
データ解析による情報提供が非常に多くなってきている世の中で、統計情報に関するリテラシーを高めるための第一歩として有益な書物。古市憲寿の天然が苦でない人にはお勧め。
目次:
序章 統計分析へようこそ
第1章 クロス集計の基礎
第2章 クロス集計の応用
第3章 相関分析
第4章 分散分析
第5章 重回帰分析
第6章 ロジスティック回帰分析
第7章 多項ロジスティック回帰分析
第8章 交互作用の検証
巻末対談
旧版 2012年
新版 2018年