読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

【4連休なので神秘思想への沈潜を試みる】03: 霊学 『神秘学概論』(原書 1909 ちくま芸文庫 1998 高橋巌訳)を書いたルドルフ・シュタイナーの内的必然性は理解する

霊界の話。

ひとくちに神秘思想といってもいろいろだ。

プロティノスの哲学、エックハルトの宗教、そしてシュタイナーの神秘学。

一般的に用いられる時の語のニュアンスとはすこし異なるが、シュタイナーが自身の霊学という神秘学の説明をする時にオカルトという語を使用しているのは、彼の独自性のあらわれと感じた。

霊聴の世界の観察は、読むことに似ている。この世界の中の存在たちは、考察者に対して、文字のように現れる。考察者は、超感覚的な書物を読むために、その相互関係をしらなければならない。それゆえ霊学は、霊聴による認識を、「オカルト文書の読解」と呼ぶ。(p366)

霊聴は旧約時代の預言者も聴いた一種幻聴のようなものと思う。ただ聴きとりの先にいるのは神ではなく高級霊。聴きとるものは民族の運命ではなく世界の有りよう。こう書くと、霊学の霊聴のほうが奥深そうに思えるかもしれないが、私の感覚では霊学の内容のほうが空疎。肌理の粗い世界提示だ。


人間の世界と人間自身とが、土星紀、太陽紀、月紀、地球紀、木星紀、金星紀、ヴルカン星紀の諸段階を通っていく、(中略)さて、霊学の意味で現在の土星を考察すると、それは古い土星の再生した姿である。それは、太陽と地球との分離以前に、特定の本性たちが存在していたゆえに、生じた。(p448-449)

いくら天文物理学的にナンセンスであろうと、シュタイナーにとってはこれは揺るぎない真実だ。著作も人をだまそうとしているたぐいのものではない。無論、私は与しない。生物学的にもおかしなことが書かれているし、選別思想が顔をのぞかせていることも気になる。ただシュタイナーが本気だということは理解した。ただそれなりの数になる同調者がどういったスタンスで霊学に与しているかは、本書には書かれていないので、想像もつかず、すこし怖さも感じている。同調者みながみなシュタイナーと同等の霊視霊聴を体験しているわけではないだろうのに、どういったつもりだろう。何がしたいのかというよりも、何がしたくないのか、何を避けたいのかという点は知りたいかもしれない。


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