小崎哲哉『現代アートとは、何か』を読んで、コンセプチュアル・アートに慣れることも期待して、小崎哲哉の仕事をもう一冊。貧困、感染症、戦争、公害、廃棄物。センシティブな人は避けたほうがいいかもしれないが記録価値のある写真の数々。最近読んでいるキリスト教系の論説によく出てくる「存在するものは善い」という言葉が思い浮かんでくる。善くないものもあるよね、人間にとっても、他の動植物にとっても・・・。
人間の人口の増加がいちばんの問題というのは一番厄介な問題で、その次は中世思想では考える必要もなかった制御の難しい人工物、廃棄物。あまりにひどいものは次第になくなっていく方向性があるとはいえ、これという解決策をひとそろい整えるのは難しい。個人でできるのは勢いにのまれないように少し考えてみることくらいか。
人種差別、不寛容、無知、すなわち愚かさに出会う時、熱心にいがみ合う敵同士が実は必然的に似た者同士であることを、僕たちは既に知っている。(アッバス・キアロスタミ「映像として残る人間の愚かさ」P130)
似た者同士じゃなくてもいいかくらいのところからはじめる。世界にとっては小さく遅れたことかもしれないが・・・
小崎哲哉
1955 -