読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

【ハイデッガーの『ニーチェ』を風呂場で読む】19. 真理と芸術、持続と生成

ニーチェの思想の中では真の世界と仮象の世界の性格が逆転する、ということが展開される数章。

 

図式欲求としての実践的欲求 地平形成と遠近法的展望
了解と打算
理性の創作的本質
ニーチェによる認識の働きの《生物学的》解釈
存在の原理としての矛盾律(アリストテレス)
命令としての矛盾律(ニーチェ)
真理、《真の世界と仮象の世界》の区別

真理は渾沌を固定させ、生成するもののこの固定化によって仮象の世界のうちに留まる。芸術は聖化としてもろもろの可能性を開示し、生成するものをそれの生成のうちへと解放し、こうして《真なる》世界のうちで動いている。こうして、プラトン主義の逆転が成就されたのである。プラトン主義を《真の世界と仮象の世界》の区別という意味でとらえるニーチェの解釈を前提すれば、真の世界とは生成するものであり、仮象の世界とは堅固な持続的なものである、ということができる。真の世界と仮象の世界とは、その位置と位階と性格を取り替えたわけである。(「真理、《真の世界と仮象の世界》の区別」p182)

芸術側の渾沌、生成は暴力的なものでもある。であるからこそ逆に生成が固定化され、堅固で持続的な仮象の世界としての真理の地平の整備が必要にもなってくる。

 

マルティン・ハイデッガー
1889 - 1976
フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ
1844 - 1900
細谷貞雄
1920 - 1995
加藤登之男
1919 -
船橋
1929 -