読書三昧(仮免) 禹歩の痛痒アーカイブ

乱読中年、中途と半端を生きる

杉浦康平『文字の美・文字の力』(誠文堂新光社 2008)漢字文化圏の文字に込められた思いにひたる

ビジュアル本でほっこりする。80点で紹介する文字意匠に内在する文化的生活の力。

双喜紋、喜を横に二つ並べた「囍」の文字装飾のおさまりの良さに喜びが呼び起こされる。込められた意味を知るとラーメン用のどんぶりの飾り文字にさえ、どことなく愛おしさを感じてくる。

 

【燭台の「双喜」文字】

華燭の灯板、火扇と呼ばれる円い反射板に印された「囍」の文字は、新婚を祝う文字である。喜と喜を合わせた「双喜」は、双方の慶喜を示すもの。夫婦和合の呪力を秘めた、吉祥文字だ。ろうそくの幽かなゆらぎに映え、若い夫婦の門出に勇気を贈る力感にあふれている。(p42-43)

 

卜占の際に用いられた亀甲の罅の記録蓄積からはじまっている漢字の歴史。価値と意味を込められてきた罅の重なりを活字と図版を通して観取しようとしながら立ち止まり接する。


【付箋箇所】
42, 44, 160, 162

目次:
1. 文字液が流れる文字
2. 文字を纏う
3. 文字を戴く
4. 文字を運ぶ
5. 文字と暮らす

 

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杉浦康平
1932 -